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【vol.453】法規=麻薬粛清が導く未来は

2016年08月24日
ここ最近、
フィリピン人とお酒を一緒に飲んでいると、
必ずこの話題が上がる。
「ドゥテルテ大統領、どう思う?」

6月末に新大統領に就任したドゥテルテ氏。
選挙戦中から
「麻薬犯罪者は殺す」
などと発言。
薬物犯罪の容疑者殺害を推奨していた。
その結果、就任後に殺された容疑者は1800人とも。
そのほか、「麻薬王」と疑われた実業家と面会して「処刑するよ」と言ったり、
国連人権高等弁務官事務所が殺害を非難したことで、国連脱退を示唆したり、
なかなか過激な言動を繰り返している。

しかし、長年市長を務めてきたミンダナオ島・ダバオ市の
治安が向上したことも事実。
薬物犯罪は、殺人や傷害などその他の犯罪も引き起こしやすい。
大統領が「薬物のない国」をつくろうとしていることは事実だろう。

大統領を支持しているという男性(28)はこう言った。
「あと1、2年もすれば、
 フィリピンはアジアで唯一のドラッグフリーの国になっているよ!」

一方で、そのドラッグフリーを目指す「手法」に、
疑問を持つ人が多いこともいなめない。

ある50代の男性は
「もし、殺された中に無実の人がいたらどうするのか。
 裁判もしていないのに。
 大統領がやっていることは、
 罪のない人を殺すかもしれないことだ」

と憤りを見せた。

その上で二人は問う。
「ケンゾウはどう思う?」

正直、
よく分からない
としか、いつも答えられない。

薬物犯罪のない世界をつくりたいという理想は、
すばらしいものだ。
日本でも記者をしていた時、
毎日1件程度は、
警察から「覚せい剤取締法違反容疑で逮捕」
という広報文が流れていた。
フィリピンの場合、貧困による空腹を紛らわせるため、
覚せい剤やシンナーに手を出す場合もあるという。
犯罪が次なる犯罪を生む、という論理も分かる。

でも、じゃあ、
容疑者は全員殺してしまうのが正しいやり方か?
確かに、もう待ったなしの状態なのかもしれない。
裁判を待っている暇はないのかもしれない。
でも、「じゃあ殺しても良い」ってなるだろうか?

日本の裁判ならば、
「疑わしきは罰せず」の精神だろう。
薬物を押収したとか、使用現場を現認したとか、
決定的証拠がなければ、
「被告人の利益になるように決定すべきである」という法則だ。
しかし、フィリピンの場合は
「疑わしきは皆殺し」
の世界。
しかも、逮捕・起訴する前の段階。
中には、
「あいつマジうぜーから、
 シャブやってますよって、ちくってやろーぜ!」
とか、
そんな輩が出てくるかもしれない。

もちろん、
殺すか殺さないか、
そんな二項対立で片付けられる問題ではないのだろうが。

ここのところ、フィリピン人も注視している大統領の施策。
あなたはどう思いますか?

↓「殺すことは超法規的措置だ。やめろ」と言うことはできる。でも、それよりも即効性のある代替案って、思いつかない。
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